悲鳴窟

怪談その他

【実話怪談】忠告──部屋に蛇が

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晃司さんが社会人一年目の頃の話。
仕事を終えた彼が帰宅すると、玄関扉に一枚の紙が貼られていた。そこには達筆な筆字で一言、

《部屋に蛇がいます》

と書いてあったそうだ。
えッ蛇がなんで? と晃司さんはギョッとしたけれど、彼の住まいは東京の都心部である。
友人のだれかによるイタズラだろうか? 
あるいは同じマンションに住む人のいやがらせかもしれない。
うすらさむいものを感じながら、晃司さんは貼り紙を剥がして玄関扉を開けた。

束になった黒髪が、靴脱ぎでとぐろを巻いていたという。

「忠告」と題した三話を続けて紹介したが、この話に出てくる晃司さん、「その子供」の前浦さん、そして「心霊写真」で綾乃さんから別れを告げられた男の三人は、実を言うと、同じひとりの人物である。
話をうかがいながら、そんなに忠告ばかりされて大丈夫ですか? 気をつけたほうがいいですよ、という忠告したくなったのを、ぐッと堪えたことはまだ記憶に新しい。