悲鳴窟

怪談その他

2024-01-01から1年間の記事一覧

【劇評】『現像 世田谷区桜上水09.2024』

先日、桜上水の古民家で行われた松尾裕樹&丸山港都の演劇作品『現像 世田谷区桜上水09.2024』を観てきた。 www.genzou.art 脚本、演出を手掛ける松尾さん、俳優の丸山さんとは前作『バーン・ザ・ハウス』のアフタートークに呼んでいただいてからのご縁で、…

【怪談私小説】生きるも死ぬもない女

当方は東京都墨田区旧寺島村の生まれであって、その三神社であるところの白髭神社、高木神社、長浦神社のいずれの例大祭にも幼少期から慣れ親しんでいる。父はそのうち白髭神社の氏子総代を務めたことがあり、今も実家では神輿巡幸の「セッタイ」をする。要…

【怪談私小説】嫌な男

友人の植木屋と居酒屋に入った。ざっかけない接客が心地良く、刺身が美味い。ちょっとおもしろい日本酒の品揃えも気に入っていて、月に一、二回は顔を出す。植木屋は最近、仕事関係でちょっと不思議な体験をしたという。酒を飲ませて、それを聞き出すつもり…

【実話怪談】駐輪場

和馬さんが以前よく利用していたスーパーの駐輪場の話である。 その駐輪場は、店の裏手のちょっとした死角に設けられていた。だからなのか、時折、近所の高校生がたむろしていたり、ホームレス風の男がシケモクを吸っていたりということがあったらしい。もち…

【読書感想】富岡多恵子『遠い空』(中公文庫、1985年)

短篇集。表題作「遠い空」は、先日めでたく文庫化された春日武彦『無意味なものと不気味なもの』(中公文庫、2024年)で取り上げられている。わたしは春日氏のこのエッセーを学生時代に愛読したいへんな影響を受けたのだが、言及されている小説のうち、どう…

【読書感想】パトリシア・ハイスミス『ゴルフコースの人魚たち』

ゴルフコースの人魚たち (扶桑社ミステリー ハ 8-5) 作者:パトリシア ハイスミス 扶桑社 Amazon 最近いろいろと健全すぎる生き方をしている気がした。こういうときはハイスミスを読むにかぎると、本棚から未読だった本短篇集(森田義信訳、扶桑社ミステリー…

【実話怪談】鶏鳴

柳楽さんが数年前まで住んでいたアパートでは、明け方、よく外で鶏の鳴く声が聞こえたそうだ。そこは駅から徒歩二十分ほどの場所にある木造物件で、周囲には畑も多かった。だから鶏を飼ってる人くらいいるだろう、と柳楽さんはそう考えていて、鳴き声がする…

「不条理(系)怪談」についての覚書

「不条理(系)怪談」という言葉を怪談界隈の人たちはわりと普通に使っているように思える。じぶんにしてもそれは同様で、「不条理(系)怪談」を得意とする作家といえば、例えば我妻俊樹、朱雀門出両氏の名前がすぐに思い浮かぶ(現にこの二人が「不条理(…