2023-01-01から1年間の記事一覧
妻が録画したNHK大河ドラマを観ている。今年の大河は松潤の家康と聞いていたが、タイトルを一目見ておどろいた。『こうしろ平八郎』というのだ。若かりし日の大塩平八郎を池松壮亮が演じている。大塩平八郎という人は教科書に載っていたあの顔の感じから大変…
夕方、保育園に娘を迎えにいったら、園脇の側溝に大きな鰻が横たわっていた。野田という小柄な先生が刺股みたいなものでそれを上からおさえつけているところに國分という背の高い先生が駆けてきて、手に持った千枚通しで鰻の脳天を貫いた。鰻は笛を吹くよう…
岩波文庫から出た中上健次の短篇集をだいぶ読んだのだけれど、いまの自分のモチベーション的に他人の性交の話にあまり興味が持てない。というか他人の性交の話にわりと興味がある状態がむしろ異常ではないかという気がしてもいる。なんでおれはそんな他人の…
昼ご飯を作ろうとしたらツナ缶とパスタしかなかったので当然ツナのパスタを作ることになる。選択肢が少ないのはいい。なぜなら思い悩むことがないから、とうそぶきながらニンニクを刻み、オリーブオイルを探したのだがどういうわけか一向に見つからない。か…
つい先日、こんな本が出た。 現代奇譚集 エニグマをひらいて 作者:鈴木捧 Amazon 処女作『実話怪談 花筐』、第二作『実話怪談 蜃気楼』で独自の淡く、けれど奇妙に忘れがたい怪談世界を提示した鈴木捧氏の第三作である。私は前掲書を再読三読し飽きなかった…
二歳になる柚子ちゃんは今日も目についた扉をノックしてはこう訊ねる。 「トントントン、だれのおうち?」 保育園で教わった、いまお気に入りの遊びなのだ、と母の亜希さんは語る。古くから農業を営む亜希さんの生家に里帰りした時のこと。 玄関の引き戸の前…
煙鳥怪奇録 足を喰らう女 (竹書房怪談文庫 HO 607) 作者:煙鳥,高田 公太,吉田 悠軌 竹書房 Amazon "The horror! The horror!" ──Joseph Conrad "Heart of Darkness" 怪談蒐集家・煙鳥が集めたネタを、吉田悠軌、高田公太の実力派二人が「書き直す」シリーズ…
【課題】ハーマン・メルヴィル/牧野有通訳『ピェール 黙示録よりも深く』(幻戯書房)【日時】2023年4月22日(土)12:30〜17:00【場所】喫茶室ルノアール新宿役所横店 【参加】7名 ピェール: 黙示録よりも深く (上) (ルリユール叢書) 作者:ハーマン・メルヴ…
家怪 作者:川奈まり子 晶文社 Amazon 川奈まり子氏は現今、実話怪談をものする作家の中で、トップクラスのネタ量を有する方と言われている。が、一度でもその著作に触れた者ならわかるだろう。川奈氏ほど、質か量かという二分法が当て嵌まらないタイプの作家…
「インドカレー屋って初見で入っても、まあハズレないじゃないですか」 亜紀さんはその日、駅前で南アジア系と思しき外国人から新規オープンしたカレー屋の五〇円引きクーポン券をもらった。ちょうどランチタイムだったので、それならと彼女は駅からほど近い…
中津さんが殺したゴキブリの腹から白い小人が出てきて「オ祓イシテモ意味ナイヨ」と言った。小人はすぐにカーペットの下に潜ってしまい見えなくなったが、それからというもの、夜になると部屋のどこかから「ヒヒヒ……」というか細い笑い声が聞こえるそうだ。…
怪談本の感想文を書くのはずいぶんひさしぶりだが、年明け早々、素晴らしいものを読んだので。 実話拾遺 うつせみ怪談 (竹書房怪談文庫) 作者:丸太町小川 竹書房 Amazon 竹書房の怪談マンスリーコンテストが輩出した著者による初単著。帯には「ヴァナキュラ…