悲鳴窟

怪談その他

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

【実話怪談】マサトが来てる

その日、翔子さんが帰宅したのは夜八時頃であった。風邪でも引いたのか、頭が重く食欲もない。「今日は夕飯いらない。体調わるい」リビングにいた母に声をかけ、自室に戻る。部屋着に着替えている最中、全身に悪寒が走った。これはヤバいかも。ベッドに倒れ…

【実話怪談】ヤニ茶漬け

山形県在住の磯峯さんの体験談である。 磯峯さんは自他共に認める山歩きの達人だ。その日も早朝から山菜取りに出かけたのだが、気分が落ち着かない。胸がソワソワして、通り慣れているはずの道を間違えてしまった。つねにはあり得ないことである。幸いすぐ気…

【実話怪談】他人心中

ある日、眞子さんは恋人の恭二さんからおかしな相談を受けた。 「夜中に目覚めると、うちの玄関口に男が座ってるんだ。最初は俯き加減なのがちょっとずつ顔を起こして、このままいくと目が合う、顔を見てしまう、それだけは絶対にダメだ、そう思って目を瞑る…

【実話怪談】ヨシコのことはもう忘れて

若松さんが東北地方の某県に出張した時の話である。 その日の仕事を終えた彼は、軽く酒でも飲みたい気分になり、ホテル近くの繁華街をぶらぶらと流していた。すると道の向こうから、手を振って近づいてくる者がいる。スーツ姿の若い男で、最初、若松さんは客…