悲鳴窟

怪談その他

【実話怪談】変容①

ある晩、武市さんが異様な物音に目覚めると、一週間前に亡くなったばかりのおばあさんが寝室の壁や天井を四つん這いで駆けまわっているのを目撃した。

「死んでる人がそこにいる恐怖というよりはですね、はっきり言って、頭のおかしい人に出くわしたときの恐怖です。幽霊になったらみんな、あんなふうに別のなにかに変わっちゃうんじゃないですか? だとしたらマジで」

死にたくないなあ、と武市さんはため息を吐いた。