悲鳴窟

怪談その他

【実話怪談】変容②

実家のベランダから、叔母が亡くなった病院が見えるんです。

だからうちの母は、毎朝、洗濯物を干しに出るのがツラいと言ってます。

叔母がいるんだそうです。

実家と病院のちょうど真ん中あたりにふわふわ浮かんで、さびしそうな顔でこちらを見てるんだとか。

でもうちの母、幽霊とかそういうのが大の苦手なんで。

それを見るたびに、すごい嫌悪感を抱いてしまうんだそうです。

じぶんの妹でも、やっぱり怖いんですね。

だからもう、十年以上、叔母は同じところに浮いてるらしいです。

そうするうちに叔母は、輪郭もどんどん曖昧になって、いまでは、なんとなく人のかたちに見えないこともない雲みたいになってしまっていると。

母はそう言ってます。

ぼくには見えないから、なんとも言えないんですけどね。